現代人の多くは胸式呼吸を行っています。この方法は楽で自然なため、呼吸は簡単なものだと思われがちです。しかし、この方法では吸気の際に胸郭が上下するだけで、空気が肺の上部にしか届かず、効果的な換気ができません。一方で、正しい呼吸は腹式呼吸で行われるべきです。吸気時にお腹が膨らみ、肺の下部にある横隔膜が下がることで肺がしっかり膨らみます。呼気時にはお腹が自然にへこみ、横隔膜が上がって肺を圧縮し、空気を押し出します。この横隔膜の上下運動を利用することで、効率的な呼吸が可能となり、より多くの酸素を体内に取り込むことができます。

腹式呼吸の練習方法

座位または膝を曲げて仰向けになるなど、快適な姿勢をとりましょう。胸部や腹部が自由に動けるように、ゆったりとした服装を選んでください。

一方の手を胸の中央に置き、もう一方の手を肋骨の下端に置きます。この方法で自分の動作が正しいか確認することができます。

吸気時には鼻からゆっくり吸い、お腹を最大限膨らませます。このとき、腹部に置いた手が上がる感覚を意識します。

吐気時には口から息を吐きます。同時に、腹部に置いた手で少し内側と上向きに押し、横隔膜が上がるよう補助します。

呼吸筋トレーニングの多くのメリット

肺自体には筋肉がないため、自発的に呼吸を行うことはできません。呼吸筋が呼吸動作をサポートしています。呼吸筋トレーニングは、呼吸に関わる筋肉群を直接鍛える方法で、トレーニング後には筋肉の柔軟性が向上し、血行が促進され、筋肉の記憶が強化され、呼吸力が顕著に改善されます。

主なメリット:

  • 換気回数を減らし、呼吸をコントロールすることで疲労を軽減し、有酸素代謝能力を向上させる。
  • 横隔膜を鍛えることで、1cmの下降で肺容量を増加させ、最大酸素摂取量を向上させる。
  • コア筋群の力と強度を高め、一時的な換気量を増やし、活動中の心肺機能耐性を向上させる。
  • 深く長い呼吸で副交感神経を活性化させ、感情を安定させる。

喉に痰がたまる感じがする?ACBT呼吸法で簡単に痰を排出!

ACBT呼吸法(Active Cycle of Breathing Technique)は、呼気の最後で気道が閉じないようにすることで肺胞を完全に拡張させ、気道内の空気の振動を利用して痰を効果的に排出する方法です。この方法は以下の3つの段階で構成されます。

  1. 腹式呼吸
    直立または背筋を伸ばした姿勢をとり、リラックスして3~5回繰り返します。
  2. 胸腔拡張運動
    痰を緩めることを目的としています。両手を腰に置き、深く吸気しながら胸腔の拡張を感じます。その後、2~3秒息を止め、ゆっくり吐き出します。この動作を3~5回繰り返します。
  3. 強制呼気(ハッフ)
    短く息を吸い込んだ後、力強く「ハッ」と息を吐き出し、痰を排出します。

ACBT呼吸法を取り入れることで、痰の排出が容易になり、呼吸が楽になります。この技法は特に慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの患者に役立つと言われています。

Author : Adina Su, Market Monitor Specialist

Adina Su is a market watcher and trend monitor at GaleMed. With a background in Respiratory Therapy, she provides technical solution support across the care continuum. She has a passion for product training, and likes to share her knowledge that contributes to the clinical environment.